金融法学会の紹介
■設立趣旨
金融取引をめぐる法的諸問題は、従来、銀行等の金融機関で永年行なわれてきた取引実務を対象として、学界、実務界において、漸次整理検討され、次第に学理的整備がされてまいりました。ことに、戦後の経済再建にあたって金融取引の重要性が増すにつれ、その法理的整備にも著しい進歩がみられるに至りました。
金融取引は、従来、銀行等の金融機関の行なう預金の預入れならびに貸付、手形割引や為替取引その他いわゆる付随業務の研究として発達してきましたが、近来、事業者や消費者その他の資金調達、資金供給に新しい形態を生み、これが従来の金融取引にも密接に関連をもってきました。さらに、今次の銀行法改正により、金融機関の行なう業務が拡大変化していく方向が予測されます。また、金融に関連する業務の相互乗入れ、金利自由化、加えて、国際化、機械化に伴い、金融取引に関する研究はいっそうの複雑を増してきました。
ここに至って、資金調達・供給や信用供与に関する制度的問題を含めて広義の金融に関する法は、金融法という一つの重要な研究領域を形成するに至った、と申しても過言ではありません。
そこで、われわれは、金融に関する法理や制度を研究者・実務家相たずさえ、理論・実務の両面から総合的に研究討議する場として、全国的な組織としての金融法学会の創立を提唱したいと考えるに至りました。
このような研究領域についての関心は、次第に高まっており、研究グループも増加しております。幸いこの種の学会設立について協議する機会をもちえましたわれわれ(発起人)は、この創立をお世話させて頂き、次第に輪を広げ(「発起人の範囲にとどめない」という意味)、全国的な整備の糸口を切らせて頂きたいと考えたわけでございます。
(金融法学会第1回大会 加藤一郎理事長記念講演より抜粋)